上下巻にまたがる大著。下巻の訳者あとがきに要約があるので、読んでいるうち自分の位置が不安になったら要約を振り返ると良い。
後からも読み返すべきは第6章、第17章である。
第6章では、ミドルクラスの人々がフラット化した世界で仕事をしていくにはどうしたらよいか論じている。
第17章は結論である。
毎朝目覚めたときに、物事がもっとよくなるのを想像し、さらに、よくなるというそのイマジネーションに従って日々行動してもらいたい。
以前の職場で開発を中国にある関連会社に移していく渦中にいた私は当時、インドに職を奪われたアメリカ人と同じだと思っていた。しかし、機械的なプログラミングばかりの仕事が嫌だったのも真実であり、何をすればよいか悩んでいた。結局My Job Went To Indiaなどを読んだ末、ハイエンドな技術を身につけようと社内異動した。
そんな以前の職場の裏で(もちろん今も)なにがおこっているのか明確に説明されていた。グローバル化はアジア各国に生産工場を建てて、現地住人を奴隷のごとく搾取する、というのは昔の話で、真のグローバル企業はサービスのサプライチェーンを築き、個人は最適な役割をこなす。ものにとどまらないことがRelease 3.0 なところだ。
できることをできるだけ短時間で実行するよりも、できるかわからない課題に対して調査し、考え、解き明かすことが好きだ。これからはフラット化した世界を多いに活用し、ただ短時間で実行するよう求められるだけの仕事はなるべく行わないようにしていこうと思う。